2007年10月27日土曜日

オペラ観劇の様子

画像はウィーンの国立オペラ劇場

 さて、ちょっと間が空きましたけど、今回は「観劇している人たちってどんな様子?」と言うのをレポートしたいと思います。

 結論から言ってしまうと、最近雑誌なんかでよく、米国人の映画鑑賞の様子なんかが紹介されますね。えー、日本なら「八時だよ 全員集合!」の「志村ー! 後ろ!後ろー!」みたいな。あそこまで激しくありませんが、基本、似たような感じです。

 まずは「ラ・ボエーム」から。
 ウィーンの国立歌劇場で観ました。初めてこの街に行った(恥ずかしながら国外に出たのもこれが最初)のですが、あと二十〜三十年もすれば東京もこんな感じになるかな? ってな感じの街です。都会です。なんかよく、音楽の都〜なんて紹介されてますが、そんなものは過去の話って印象です。まず人種がめちゃくちゃ多い! 白いのから黒いのやもちろん我々のような黄色いのも、ごった煮状態です。地下鉄に乗れば、高校生くらいの白人の女の子の集団とともに、スカーフを撒いた中東系の女性やらこぎれいな東洋人やらがどどっと乗り込んできて、まぁ、一通りのメジャーな人種を見ることができます。

 国立歌劇場のチケットにはレクサスの社名が入っています。スポンサーだそうです。ここまで来て日本企業のロゴなんて見るとはねぇ。
 さて、入場客については以前お話した通り。雑多な人たちがいます。僕の左となりには、ドイツ語を話す老夫婦。右となりには老夫婦と娘とおぼしき女性の三人連れが座ります。やっぱり、こちらでも開演前にアナウンスが入ります。「携帯電話の電源は切ってくれ」と。
 この劇「ラ・ボエーム」(リンク先はWikiの該当ページ)は、恋愛悲劇ものです。愛する人が病気で死んでしまう、でも無力な主人公はなにもできないーって、このパターン、最近の日本でもさんざんやられたような気がしますが。大体、男ばかり四人で貧しいながらも楽しく暮らしている主人公の下に、よりにもよってクリスマスの夜、突然女性が「ローソクの火を貸して下さい」って尋ねてくるなんて、これなんてケータイ小説? ってな感じです。まぁ、大衆に受ける話なんて今も昔も変わりないと、そういうことです。

 序盤は主人公たち四人のスチャラカな暮らしぶりの描写です。歌自体はイタリア語なのですけど、席に設置された小さな液晶で、ドイツ語や英語の字幕を観ることができます。レクサスがスポンサードしてますが日本語字幕はありません。主人公に、出かけようと声を掛ける友人たちの声「おーい、この怠け者のクソッタレ野郎! さっさと出かけようぜ!」。………もちろん、英語字幕から勝手に意訳したのですが、なんか、近年のハリウッドのバディものと大して変わらないことを言ってるんですけど。
 で、やっぱりそういうシーンだと笑うわけですよ、皆さん。結構気楽です。ガッチリ構えて音も立てずにって感じではありません。静かにするべきところでは静かにしてるんですけどね。

 終盤のヒロインが亡くなるシーンでは、劇場内が女性のすすり泣きで溢れます。右隣の女性はハンカチを出して、グスングスン言ってるわけです。左の老夫婦はなんかピッタリとみを寄せ合って、旦那さんが奥さんの腰に手を回したりなんかしてます。場内、大盛り上がりです。

 やっぱり、観客をここまでさせるってのは、ストーリーもありますが、ソリストの方々の演技力、歌唱力なんですね。字幕もでますしそれでストーリーも解りますけど、それだけでは、観客は動かないでしょう。やっぱり。死にかけたヒロインの名を悲壮に歌い上げる、その歌声に人々は圧倒されて、心揺り動かされて、涙するんです。

 今回は、オペラ観劇の様子をお話させて頂きました。
 そんな堅苦しいものではないって、その一旦でもご理解いただければ。
 

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